入所35年男性の遺産、施設へ 世話は近親者以上
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
いよいよ12月に入りましたね。
あと今年もわずか。忘年会があったり、事件のかけこみ的な和解があったり、12月はけっこう忙しいです。
さて、入所35年男性の遺産、施設へ 世話は近親者以上、特別縁故者認定というニュースがありました。
あまり聞かないケースですが、個人的には、施設は介護のプロとしての仕事をしただけと思うのですが、特別縁故者と認定されました。
特別縁故者とは・・・
相続人のいないまま死亡した場合、生計を同じくしていたり、療養看護をした人や団体等を、家庭裁判所が特別の縁故関係にあったと認定すると、特別縁故者となり、認定されれば相続財産の分与を受けられるというもの(民法958条の3)。ちなみに、相続に至らなければ、相続財産は国のものになります(同959条)。
弁護士も成年後見人として仕事はしますが、あくまで財産管理がメイン(施設と契約して施設代を振り込んだりということです)。
身上監護は、なかなか手が回らず、事実上施設の方やケアマネさんにお任せという事態になることが多いと思いますので、弁護士が成年後見をやっている高齢者の特別縁故者になるというケースはほとんどないように思います。
自分が成年後見をしている入院している方もいますが、出費の際に振り込んだり、入院したときに同意書書いたりといったことが中心で、家族以上の関係というのはなかなか難しいです(介護の仕事であれば、日々接するので家族以上の関係ということにはなりやすいのかもしれませんが)。
弁護士としては、財産管理をメインとしつつ、身上監護と成年被後見人の方の意思をできるだけ聞いてあげるということが仕事で、なかなか毎日訪問することとかは難しいんです。。
国に帰属するよりは、一生懸命ケアをした施設に遺産を残させてあげたい、という相続財産管理人の思いが生んだ判決でしょう(一審で負けているようですし、なかなか判断は難しかったと思います)。
ただし、プロとしての仕事が「家族以上のもの」というような認定になっているような気がして、この判決が一般化するのは相当難しいなと思いました。
- 2016-12-05
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- by 豊田シティ法律事務所