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ごあいさつ

ネット中傷抑止へ侮辱罪厳罰化 懲役・禁錮、「拘禁刑」に 刑法改正案を閣議決定

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

昨(2021)年10月21日に「法制審議会」(法相の諮問機関)が、ネット上のSNS(交流サービス)や掲示板での誹謗中傷を抑止するため、「侮辱罪」を厳罰化する《懲役刑の導入》などを提言する要綱を決定し、政府は早期に『刑法改正法案』を2022年通常国会に提出する計画でしたが、いよいよ実現されそうです。
これにより、<中傷の抑止>や<泣き寝入りの防止>につながることが期待されていますので、少しでも誹謗中傷が無くなればいいなと思いますね。


(以下、時事通信社の記事を引用)

 

政府は8日の閣議で、社会問題となっているインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を抑止するための「侮辱罪」厳罰化や、懲役刑と禁錮刑を一本化した「拘禁刑」の創設を盛り込んだ刑法など関連法の改正案を決定した。

民事裁判の手続きを全面IT化する民事訴訟法改正案も併せて決定した。いずれも今国会中の成立を目指す。

侮辱罪の現行法定刑は「拘留または科料」。改正案はこれを「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」とする。これにより、公訴時効は1年から3年に延びる。施行は公布から20日後を予定している。

拘留は1日以上30日未満、刑事施設に拘置する刑で、科料は1000円以上1万円未満を強制徴収するもの。「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」としている名誉毀損(きそん)罪に準じた扱いとする。2020年5月、ネットで中傷を受けたプロレスラー木村花さん=当時(22)=が自ら命を絶った問題を契機に厳罰化の動きが進んだ。

 

(引用おわり)


 

 

 

2020年度に総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられたインターネット上の中傷などの相談件数は<5407件>にのぼり、10年前の4倍に増えています。ただ、警察が「侮辱罪」で摘発した件数は年間70件程度で、横ばい状態が続いています。摘発のネックとなっている理由は2つありました。

 

(1) 公訴時効が<1年>というの短さです。
(2) 現行の「侮辱罪」の法定刑があまりにも軽すぎて 抑止効果が薄く、警察が動くインセンティブが小さい<*1>。

 

<*1> 警察が動くインセンティブが小さい
「殺すぞ」「爆破する」といった露骨な投稿であれば「脅迫罪」や「威力業務妨害罪」が成立しますし、名誉を侵害する何らかの事実、特に<虚偽の事実を書き込んだ>のであれば「名誉毀損罪」に問うことができます。これらの罪では、いずれも「懲役刑」があります。しかし、何ら具体的な事実を摘示せず、「バカ」「クズ」「ハゲ」「デブ」「死ね」「消えろ」といった投稿をしただけであれば、「侮辱罪」が成立するにとどまります。「侮辱罪」は「名誉毀損罪」などと比べると格段に刑罰が軽く、「拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)」か「科料(千円以上1万円未満の金銭罰)」に限られます。フジテレビの番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーの木村 花さん(当時22歳)がSNS上で誹謗・中傷を受けて2020年5月23日に自殺したケースで、その事件処理の経過を追ってみるとそのことがよく分かります。

 

-0. 2020年5月、女子プロレスラー木村 花さん(当時22歳)がネットの誹謗中傷を苦に自殺。
-1. 2020年12月16日付 警視庁発表によれば、同庁は大阪府の20歳代の男〔以下、Aと称す〕を《木村 花さんをツイッター上で侮辱した》として東京地検に「書類送検」しています。Aは逮捕されていませんし、刑罰も「侮辱罪」と非常に軽いものでした(「侮辱罪」のような場合、「書類送検」にとどまることがほとんどです)。
-2. 同年3月30日、東京地検は《インターネット交流サイトで木村さんを中傷する投稿をしたとしてAを「侮辱罪」で「略式起訴」した》と発表。
-3. 同日、東京簡易裁判所は<科料9000円の略式命令」>を出し、加害者Aは即日納付した旨、新聞などで報道された。

 

2020年5月に自殺した女子プロレスラー木村 花さん(当時22歳)のケースでは、フジテレビの番組「テラスハウス」での言動を巡って木村さんのSNSが“炎上”し、約300件の中傷が寄せられたと言います。「生きてる価値あるのかね」「きもい」などと書き込んだ男2人が「侮辱罪」で<略式命令>を受けたが、わずか「9000円の科料」にとどまり、厳罰化を求める声が一気に高まったのです。
わが国の「侮辱罪」の法定刑の低さは、同罪に相当する罪がある諸外国と比べて際立っています。法務省の情報では、

・韓国では「1年以下の懲役・禁錮 or 200万ウォン(約20万円)以下の罰金」、
・ドイツでは、公然と行われた場合は「2年以下の自由刑or 罰金」で、非公然でも「1年以下」。
・フランスは「罰金」のみだが、1万2000ユーロ(約160万円)以下と高額です。

重大な結果に対する9000円の科料という結果が、法改正を動かしたといえるでしょうね。

 

 

「略式起訴」は「通常の起訴」より罪が軽いと思われがちですが、「略式」でも起訴されると<前科>は付きます (<前科>がつくのを回避したいなら、「略式起訴」の書面に同意する前に弁護士に依頼することを考えましょう。「略式起訴」前なら、弁護士が被害者との示談を成立させれば<不起訴>になる可能性があります)。

「前科」とは、有罪の確定判決によって刑罰の言い渡しを受けた事実をいいます。地方公共団体の行政事務として、本籍地の市区役所や町村役場が「犯罪人名簿」を作成しており,そこに登載されていることを通称「前科」と言います。前科は裁判所の量刑資料および地方公共団体による法令上の「資格証明」に際して利用されます。

 

※ 2021.11.19付 毎日新聞に掲載の写真

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