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ごあいさつ

パナマ文書とは?

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

さて、当事務所は、毎月事務所通信を顧問先企業等に送付していますが、そのなかで「コラム」を書いたりしています。
このたび、興味深いと言ってくださった方もおられたことから、「コラム」の一部をブログに載せることとしました。「コラム」というカテゴリーを作りましたので、徐々に転載していきたいと思います。

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◇『パナマ文書』が問題とされる背景

『パナマ文書』とは、パナマを拠点とする法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した2.6テラ・バイト(文庫本2万6,000冊に相当)、1,150万件もの膨大な内部情報の呼称です。

1970年代から約40年間にわたる電子メールや画像・登記簿などの情報の中に、各国首脳や多国籍企業、富裕層などによる<租税回避地の利用実態>が記されていると言われています。
現在、「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICJI=本部・米ワシントン) が中心となり、各国の記者や委託を受けた会計事務所らが協力して情報を分析しており、5月10日はその一部が公開されました。その内容については、次回以降に取り上げます。

さて、この文書が世界中に漏出した意味とは何でしょうか? それは、世界各国の政治権力者やグローバル企業、富裕層らが、タックスヘイブン(tax-haven=租税回避地)を利用して《課税逃れ》(=租税回避)をしている事実が暴露された点にあります。

それにより《経済(貧富の)格差》や《税制の歪(ゆが)み》の問題が世界中で問題になっているわけです。今月以降何回にわたって、(2)『パナマ文書』のもつ意味や、(1)それが問題とされる背景、(3)多国籍(その進化形のグローバル)企業の節税モデル、最後に(4)日本に本店所在地がある多国籍企業や「日本居住者」に与える影響と《マイナンバー制度》との関連性--などについて、ご報告したいと思います。

◇ 世界中で経済(貧富の)格差が拡大
今月号では、上記(2)から(4)までの《租税回避》の実態と問題点、その解決策などに入る前に、(1)租税回避地の問題が世界中で騒がれる背景--現在のわが国を含む先進国や新興国、発展途上国における《経済格差》の実態がどのようになっているのかについてご説明したいと思います。

昨年の中日新聞元旦号には『新貧乏物語』が掲載。何回かのシリーズで報道されるそうです。

1916(大正5)年9月11日~12月26日にかけて大阪朝日新聞に連載された、京都帝国大学教授の河上肇の評論 『貧乏物語』の発刊、「あれから百年 ~消えぬ格差~」と見出しが踊っています。この著作は、翌年、弘文堂から出版されてベストセラーになり、近代日本における本格的な《貧困研究》の出発点となった書籍です。  

ちなみに、2014年9月に亡くなった世界的な数理経済学者の宇沢 弘文氏 (1997年文化勲章を受章、世界計量経済学会・会長を務めた)もこの書を読み、貧富の差を生み出す社会に対する怒りによって数学から経済学の研究に転身したことが知られています。
中日新聞の何回目かの連載の中で、「奨学金貧乏」の話が書かれていました。大学や大学院を出るまでに何百万円もの貸与型奨学金を借り入れ、学業を終えていざ就職しようとしても、就職氷河期にあたって正規労働者の職につけず、現在も非正規職員のままで奨学金の返済にも苦労するという生々しい話です。

同紙には、他にも「<若い世代>だけではない。昨年のベストセラー『下流老人』の著者で、NPO法人・代表理事の藤田 孝典さんは警鐘を鳴らす。困窮する子どもの世代に頼れず、過疎化する地方で地域社会からも孤立する<お年寄り>が増えている。そのような状況で大きな病気や怪我をすれば、現役時に豊かだった人でも貧困に陥りかねない」とあります(次回、具体的なデータを見ていきます)。

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