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2022 5月一覧

司法修習生が最高裁(国)を訴える&日本郵便、税滞納者らの転居先開示へ 国や弁護士に

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

“手書きの文書作成でけが” 司法修習生が国に慰謝料求め訴え、という衝撃的なニュースがありました。
山形県内で修習を行っている司法修習生が、司法研修所からの指示で長時間、手書きで文書の作成をさせられたことで腕が痛み2か月のけがをしたとして、国に対し、慰謝料など140万円余りを求める訴えを山形地方裁判所に起こしたということです。

訴状によりますと、修習生は先月8日、司法修習中に司法研修所から文書を手書きで作成するよう指示された、とのこと(確かに、自分のときもそうでした)。
修習生はその指示に従って長時間にわたって手書きで文書を作成したことで首から右腕にかけて痛みが生じ、およそ2か月のけがをし、病院で治療を受けたということのようですが、事情を説明してパソコン受験などの申出はできなかったんでしょうか(視覚障害者の司法修習生はパソコンでの受験が認められていたように記憶しています)。

修習生は、司法の実務ではパソコンで文書を作成していることなどから、手書きでの文書作成の指示は合理的ではないと主張したうえで、精神的苦痛も受けたとして、国に対し、慰謝料と治療費合わせて140万円余りの損害賠償を求めているようですが、「違法」とまではいえないような気がします(たしかに、一日中論文を書き続ける状況で、数日続いたりもしますから、かなり手が痛くなるのは事実で、書きやすいペンを選んでました)。

最高裁判所は「個別の事案についてコメントは差し控えたい」としているようですが、大学入試や小論文なども手書きが各のが普通ですし、実務の書面作成がパソコンだからといって試験もパソコンというのは少し違うような気もします。

さて、もうひとつの表題について。
個人情報がうるさくなってきてから、相手の住所がわからなくて内容証明が送れないなどの事態は、弁護士であれば経験したことがあると思います。

弁護士会も照会を拒否する日本郵便に対し、裁判を起こすなどして、開示に向けた行動をとってきたかと思います(裁判は、義務はある、とした上で、慰謝料請求は棄却という内容だったと思います)。
それを受けて、総務省は2020年に郵便事業の個人情報保護の指針解説を解説し、「情報を用いる利益が秘密を守る利益を上回ると認められたときには提供が可能」と明記していたところでした。

そして、今回、日本郵便は被災者や税金滞納者らの転居先情報を、国や自治体、弁護士に限り開示する、としました(郵便法に基づき、開示に応じていなかったのですが、総務省が郵便事業の個人情報保護の指針解説を今夏に改正するそうです)

懸案だったドメスティックバイオレンス(DV)被害者らに配慮し、開示請求の審査を徹底する、との対策もあわせて、行うようです。
弁護士会を通じた照会に対する拒否は違法と認定されていたので、法治国家として良い方向の動きだと思います。

(以下、日本経済新聞記事より引用)

総務省が5月下旬に開く検討会で、改正の概要を示す。想定事例として①災害や事故の被災者②国税や地方税の滞納者③弁護士が弁護士会を通じて照会――を明記する。今秋にも専門家による助言組織を立ち上げる。弁護士会など関係団体と具体的な手続きの協議を始め、2022年度内にも情報開示を始める。

日本郵便は被災者や税金滞納者らの転居先情報を、国や自治体、弁護士に限り開示する。総務省が郵便事業の個人情報保護の指針解説を今夏に改正する。郵便法に基づき、開示に応じていなかった。ドメスティックバイオレンス(DV)被害者らに配慮し、開示請求の審査を徹底する。
総務省が5月下旬に開く検討会で、改正の概要を示す。想定事例として①災害や事故の被災者②国税や地方税の滞納者③弁護士が弁護士会を通じて照会――を明記する。今秋にも専門家による助言組織を立ち上げる。弁護士会など関係団体と具体的な手続きの協議を始め、2022年度内にも情報開示を始める。
住所や世帯主氏名、転居情報などのうち、どこまで開示するかは事案ごとに判断する。住民票の転出届を出さずに転居している人などを想定する。被災者の救助や特定、税滞納者への徴収、提訴する相手の住所特定がしやすくなる。
弁護士会の照会では依頼者側に転居先が知られる恐れがある。DVやストーカー、児童虐待などと関連がないか、請求理由を審査する。
国や自治体の要請や弁護士照会に応じた情報開示は、通信事業者や金融機関などがすでに実施している。
日本郵便は全国で配達事業を担い、配達先は約5500万世帯と約650万の事業所・団体に上る。郵便法では「信書の秘密」や「郵便物に関して知り得た秘密」は原則として第三者への提供が認められていない。
ただ17年に日本郵便は弁護士の住所照会に回答する義務があるとの判決を受けた。20年に総務省は郵便事業の個人情報保護の指針解説を改正し、「情報を用いる利益が秘密を守る利益を上回ると認められたときには提供が可能」と明記していた。

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