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ごあいさつ

2017 1月一覧

新たな仲間

こんにんちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

さて、今週から新しい仲間がきてくれました。
新しい事務員さんのおかげで、電話や郵便など大変助かっています。

40人を超える応募があったのですが、その中で採用を決めただけあって、非常によくやってくれています。
事務員が一人産休に入るので今は一人ですが、育休明けには事務員2人体制になる予定です。

新しい事務員さんには、戻ってくるまでなんとか頑張ってほしいですね(2人体制になると仕事の負担も減りますし、より仕事もしやすい雰囲気になると思います)。
少しでも働きやすいと思えるように、弁護士の立場からできるだけのことをしたいと思います。
事務所も少しずつ拡大し、非常に楽しみです。

さて、以下は、前回のコラムの続きです。

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2.税制度は、「国家主権」そのもの

さて2013年のG8(当時、ロシアも参加していた)サミットの共同声明では、「多国籍企業が世界のどこで利益を生み、どこで税を支払っているか、税務当局へ報告するための共通のひな型づくりに取り組む」と記されています。

その対策として経済協力開発機構 (OECD) は、昨(2015)年、『経済実態のない国への企業の利益移転を防ぐ仕組みを整理した報告書』をまとめ、先進国だけでなく新興国も含めた44か国が合意しています。

また、今年4月中旬に米ワシントンDCで開催された「G20会合」(20か国財務大臣・中央銀行総裁会議)の声明文には、タックスヘイブン国も含む各国の《自動情報交換の仕組み》の構築が盛り込まれました。
例えば、日本居住者がタックスヘイブンを含む外国に口座を開設すれば、その情報(口座残高、利子・配当など)が自動的にわが国の税務当局に送られてくる仕組みです。

これについては、2017年までに「新たに55ヵ国・地域が交換を始める」ことが既に合意されており、わが国も1年遅れの2018年までに情報交換すべく、国内法などの整備を行ったところです。

(ちなみに、米国はこれには参加していませんが、国際税務の専門家によると、米国は2015年から『FATCA(外国口座コンプライアンス法)』という、より厳しい《自動的情報交換》を実施済みで、この問題への対処は最も進んでいると考えられています。しかし、当局の監視強化によって富裕層の節税の舞台がオフショア=海外から米国内の規制や税率の緩い州に移っただけ、との声もあります。事実、ネバダ州(ラスベガスのある州)や デラウェア州(首都ワシントンのある州)、ワイオミング州(ロッキー山脈の東側)などでは、規制や税率面で企業活動が優遇されており、個人の富裕層も「効率的な納税のためのペーパーカンハニーをつくって、合法的な節税スキームを構築しやすい」とつぶやいていると言われています。アメリカは国内でそのような問題を抱えていることを知っておく必要があります。)

このような事情を受け、世界的には累計96ヵ国・地域が《自動的情報交換》の対象になると見込まれています。

先の「G20の会合」声明文には、「《自動的情報交換》に係る基準を2017年 または2018年までに実施することにコミットしていない全ての関係国に対し、コミットすること及び多国間条約に署名することを求める」ことが謳われ、そのうえで「7月会合までに<税の透明性>に関する非協力的地域を特定するための客観的基準をつくることを指示する」とされています。

その結果、あらゆるタックスヘイブンに対して《自動的情報交換》を迫ることになり、それをモニターするメカニズムも構築される計画です。

秘密文書が漏洩したパナマや大西洋南西部のナウルやバヌアツ、ペルシャ湾のバーレーンなどの国々は《自動的情報交換》に参加していませんが、先の声明文による影響もあり、すでにパナマは「文書漏洩で投げかけられた疑念を払拭すべく、<透明性の確保>を強化し、2018年までに50~60か国・地域と税務情報を交換する協定を結びたい」旨を公表しています。

このような租税をめぐる国際情勢を考えると、タックスヘイブン諸国は逃げ場がなくなり、最終的にはその他の国・地域も参加せざるを得なくなるのではないかとも考えられますが、「税は国家そのもの」ゆえに予断は許されないというのが現状のようです(つづく)。

【コラム】パナマ文書③

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

今週は、非常勤裁判官の臨時出廷日があったので、週2回名古屋の裁判所へ行きました(どうしても関係者の期日が入らなかったというものです)。
臨時で行ったかいあってか?無事調停が成立し、安堵しました。

調停は、不成立か調停成立かで大きく結論が分かれますが、不成立ですと紛争が残ったままとなりますので、裁判官の立場としてはできるだけ調停成立としたいという気持ちがあります。

調停委員もベテランの弁護士が担当している件であると、参考になる部分もありますね。今回の成立も調停委員の進め方が素晴らしかったと思います。
違う場面でぜひ生かせれたらと思っています。

さて、久しぶりに【コラム】の続きを転載します。

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1 先進各国とも「課税強化」の必要性に迫られている。

先進国はどこも財政が悪化し、景気を刺激する財政対策と財政規律とが攻めぎ合って、政府は有効な手だてを打てないのが現状です。

背景には「税金逃れ」に走る巨大企業や富裕層がいて、税収不足の解消を庶民への間接税(日本の消費税、欧米の付加価値税)の増税に頼り、納税者の苛立ちが政治を一層不安定にするという悪循環があります。

また、1980年代以降、新自由主義による経済運営の影響で、各国内の《経済格差》が拡大しています。
さらに2008年9月の米国発の《リーマンショック》(=金融危機)による深刻な影響を受け、ここ数年、欧州では企業や富裕層による《租税回避地》の利用に対する怒りが溜まっていたと言われています。

ドイツに主導されるEUの各国政府は緊縮財政に取り組むとともに<課税強化対策>も進めており、租税回避地への規制は年々強化される方向にありました。そこに『パナマ文書』問題が起こったのです。

そのため今、世界中の先進国は、一部の富裕層と多国籍企業が税金の逃避先として利用しているタックスヘイブン(tax haven“租税回避地”の意味)を無視できなくなり、《強者による税逃れ対策》を前面に打ち出す必要に迫られているわけです。

金融や税の専門家によると、《租税回避問題》は「市場経済が作り出した闇」であり、「金融資本主義の自画像」といわれています。税金で成り立つ「国民国家」にとって、タックスヘイブンを利用した《税金逃れ》は最大の背信行為で、いわば金銭面で国家転覆を図ろうとするようなものです。しかも世界で名だたる企業や、権力を握る政治家、人も羨む大金持ちが利用しているからタチが悪いのです。

さて、税制度は「国家主権」の最たるものです。英国の離脱で騒がれているEUにしても、一部の例外を除き、通貨はユーロで統一されていますが、税の仕組み、つまり財政制度は各国の運営に任されています。

そのような中で、一部の政治家や富裕層、多国籍企業などの《強者による課税逃れ》がまかり通れば、「国民国家」は持ちこたえられません。

彼らが本来、税金を納めるべき国に納めず、国内的に税制の歪みが出てくれば、その国の国民は黙っていないでしょう。『パナマ文書』問題はそういう深刻な問題を引き起こしているのです(つづく)

積雪

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

名古屋・広島で積雪のおそれ

週末は、名古屋でも雪が積もるそうです。
名古屋も一年に一回くらい雪が積もりますが、今年もついにきたという感じですね。

毎年冬になるとスタッドレスタイヤにしているのですが、今年は忙しくてまだノーマルタイヤのままです。
1年に1回くらいだからいいや、という油断した気持ちでいました。

災害というのは、こういう油断しているときに「まさか」という感じで起こるのですよね。反省です。

明日、明後日は遠出をせずに自宅に引きこもることになりそうです。。
とはいえ、明日明後日はセンター試験。受験生は、自宅に引きこもってはいられません。大変だけど日ごろの成果がでるようがんばってほしですね。

そういえば、NHKのニュースで愛知県のセンター試験会場である刈谷の愛知教育大学で、責任者が大量に「融雪剤」を倉庫に備蓄し、「受験生のためにできることをすべてやりたい」といったコメントをしておられました。
少し心があったまるニュースでしたが、なにはともあれ受験生に影響がないことを祈るばかりです。

阿修羅

こんばんは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

昨年は、5月にアメリカ合衆国のオバマ大統領が原爆が落とされた広島を訪問し、被爆者に献花しました。
そして、年末の12月には、安倍首相が真珠湾・アリゾナ記念館、第二次大戦以降の米国人戦死者らが眠る米国立太平洋記念墓地を訪れ、献花しました。

これらの出来事は、敵国として対峙(たいじ)した日米の和解を印象づけました。
このニュースをみて思ったことですが、これこそが人間が今後相互に尊重しながら生きていく姿だなと思いましたね。

というのも、「正義」というのはひとつではないのです。
先の例も、アメリカからしたら原爆は戦争を早く終わらせるため、犠牲を少なくするために仕方がなかった。リメンバーパールハーバーであり、我こそが正義である、というスタンスです。

他方、日本からしても、真珠湾攻撃の宣戦布告に関しては言い分はあるところですが、何の罪もない一般市民を標的にし多くの人が犠牲になった原子爆弾投下は決して正義とはいえない。軍事施設を標的にした日本と一般市民を標的にしたアメリカ。日本の方が正義である、という見方をする人もいます。

これをみても正義はひとつではありません。
また、パレスチナ問題でも、イスラエルはテロにあった報復の空爆であり正義であると言ったり、パレスチナは空爆で罪もない人が殺された、その報復のテロであり正義であるなど、どちらにも正義と主張する根拠はあるのです。
正義がひとつしかない、という前提でいる限り、報復は連鎖するでしょう。

それを防ぐためには、どちらが正しいか、という志向ではなく、今後ウィンウィンの関係に立つための未来志向を持つことだと思っています。

弁護士は、社会正義を実現することを使命とすると法律に書いてあるのですが、依頼者の方は自分に正義があると思って事務所に来られますから、当然弁護士にも同等の思考を期待します。

しかし、前述のとおり、正義はひとつではありません。法律に書いてある社会的正義とは、世の中にはいろいろな人がいて、それぞれに事情があり、理由があるということ、そういう前提を受け入れたなかで依頼者の主張を代弁していくことだと考えています(したがって、紛争の原因を丹念に追っていく必要があります)。
たとえば、一流とされる会社であっても、いろんな人がいて、交渉が苦手であったり、口下手な人がいたりするものです。それを一流の会社であるのに、あんな不誠実な対応をされた、と怒る方もいらっしゃいます。

正義=自分の言っていることがすべて正しい、というように考えると紛争は終わらないと思っています。
正義はひとつではないということ、他人への思いやりを持つこと、これを忘れてはならないでしょう。広島とハワイへの両首脳の訪問は、このことを再認識させてくれました。

少し脱線しますが、仏教で阿修羅という魔類がいますが、本来は正義の神であったのですが、自分だけが正義だと思って、他人に対する思いやりがないために、神界から追放された魔物になった存在です。
正しいことをいうとき、私たちはその阿修羅になっている可能性があります。ひょっとしたら違う見方もあるかも、正義はひとつではないし・・・と立ち止まることが大事かなと思っています。

訴訟でもこう考えることで相手方の反論も予想できますし、当方の主張も説得力がでてくるのだと思っています。未来志向ができるようになれば、和解での早期解決もみえてきます。自分だけが正義だ、相手をこてんぱんにこらしめてくれという方もいますが、やはりこういう思考の方だと(こちらに有利な和解内容でも)和解の機会を逃しますし、判決まで行くケースが多いですね(判決で完全に勝訴すればいいのですが、結果的に和解しておけばよかったというケースもままあります)。

完全にどちらかが悪いというケースは、訴訟までいかずに解決しているケースが多く、訴訟までいくケースなどはそれぞれに事情があるケースも多いです。
したがって、弁護士は相手の立場だったらどう主張するかといった複眼的思考が必須だと思いますし、その複眼的思考で依頼者をフォローしていく必要があると思っています。

パナマ文書②

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

今日も事務所通信のコラムについて、前回の続きを転載します。

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前記の元旦号に、「国内の所得格差を表す《相対的貧困率》は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34ケ国のうち、ワースト(悪い方から)第1位がイスラエル、同2位 メキシコ、同3位 トルコ、同4位 チリ、同5位 米国、6番目に悪いのが日本で16・0%。

また、わが国の<父子 or 母子家庭の貧困率>は、加盟国で最悪の50・8%にのぼります。
河上氏が『貧乏物語』を書いてから百年の年を迎えた今も、”格差が生む貧困”がこの国に存在する」と書かれています。その通りだと思います。

ところで、日本のサラリーマンの年収は、1997年度に467万円でしたが、2103年度には 414万円まで下がっています。ピークの1997年1-3月期と比べて、2015年7-9月期の水準は▲14・5%も下がっているのです。

安倍総理が春闘前に経団連等の財界に対して盛んに賃金アップを要請していますが、そういう事情もあるのです。
日本の《格差の拡大》は、非正規雇用者の増大にもはっきり示されています。
非正規労働者の労働人口全体に占める比率は、1990年には20%だったのが、25年経った現在は37.9%まで上昇しています。男女別・年齢別に非正規比率をみますと、女性の非正規の割合が高く、2014年で57・7%と半数を超えています。

そして15~24歳の若い男性の非正規の割合は46・4%と、65歳以上の高齢者(男性72・3%、女性77・9%) に次いで多いのが特徴です。

現政権が《一億総活躍社会》で一番活躍してほしいと言っている女性と若い男性に最も非正規が多いという皮肉な現実があります。

世界のグローバル経済化が進むなかでは、中国やインド、ミャンマーといった国々の賃金の下押し圧力を受けますので、それらと競合するような産業界で働く人々の賃金は下がらざるを得ないのが現状です。 また、そのようなグローバル経済の動向に合わせようとわが国が進めている《労働規制の緩和》が、結果的に賃金を下げる方向に働いていると考えられます。

このような経済事情の結果、これまで「中産階級の国」だった日本はもはやそうではなくなり、2極分解してかなりの部分が下層化していく状況にあると考えられます。このことは、個人の金融資産のデータをみると、よくわかります。

株価が上がったことが影響して個人金融資産約1,700兆円は、現在も増え続けています。
しかし、もう一つの総務省統計をみると、2人以上の世帯で、うち勤労者世帯の金融資産の統計の中央値は、2002年の 817万円から2014年には 740万円に下がってきています。

個人の金融資産総額は、バブル崩壊直後の1990年度末で1,025兆円だったのが、2014年度末には1,700兆円にまで増えており、人口は1億2,700万人ぐらいであまり変わりませんから、一人当たりの平均資産額は増え続けています。しかし、中央値は下がってきています。中央値(100人中50番目)の人の金融資産が減ってきているということは、中産階級が没落してきていることを示しています。

このような《経済格差》の拡大はいずれの先進国でも見られます。今年3月に政府主催の「国際金融経済分析会合」に講師として招かれた米コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ教授 (2001年 ノーベル経済学賞受賞。前述の宇沢 弘文・東大名誉教授の弟子にあたるニューケインジアン学派の経済学者)は、『これから始まる“新しい世界経済”の教科書』の中で、米国での経済格差の事例として次のような例を掲げています。

▽1. 2009~12年の4年間の米国経済所得増加分の91%は、国民の1%に 当たる富裕層の手に渡った。
▽2. 2008年9月のリーマンショックとそれに続く不況で、米国では1,000万世帯が家を失ったり差し押さえられたりして、870万人が失業した。
▽3, 米国の家計所得の中央値は、2000~2013年の間に7%減少した。
▽4. 米国企業のCEOと従業員の平均年収比は、1965年の「20 対 1」から2013年には 「295 対 1」に拡大した。

最後に、アメリカ経済の格差拡大がここまで進んでいるのか、というデータがあります。

アメリカは元々先進国の中で“最も格差の大きな国”ですが、このところ格差は大きく拡大し、1976年の8・9%から2007年にはトップ1%の所得シェアが23.5%にも達しています。

これは、1928年のレベルに匹敵します。1928年といえば、米ウォール街で世界大恐慌の引き金になった“株価大暴落”(1929年10月24日)のあった前年であり、翌1930年にはわが国もその余波を受けて昭和恐慌が勃発、それが第二次世界大戦へと繋がっていく要因になったことはよく知られています。また米国では、ストック・オプション等の影響もあって、CEO(企業の経営最高責任者)上位100人の報酬と一般労働者の平均報酬の比率は、実に800倍近くにもなっています。

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