こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
さて、ヤフー株式会社が「ギグパートナー」という副業人材を募集し、100名程度の人材との業務委託契約がスタートするようです。
ヤフー株式会社が発表した「ギグパートナー」という副業人材の募集に対し、4500人以上の応募があったというニュースが注目されています(結構な人数ですよね)。
ヤフー社という日本を代表する有名IT企業が「副業人材」を募集したということは、副業容認の流れをさらに加速するきっかけになるかもしれません。
★ギグパートナー制度の概要
ヤフー社が募集した「ギグパートナー」とは、概ね以下のような内容のようです。
① 契約は雇用契約でなく原則として業務委託契約(数ヶ月の契約期間)
② 原則として出社を伴わない100%リモートワーク
③ 業務を開始した職種は「事業プランアドバイザー」「戦略アドバイザー」「テクノロジースペシャリスト」の3つで、いずれもコンサルティングに類するもの
④ 年齢は10歳から80歳までと幅広い
この制度について、同社は「オープンイノベーションの創出」を目的として掲げています。
この目的から、同社がギグパートナーを「作業を担う労働力」として集めているのではないことが伺えます。検索エンジンを軸として広くユーザーを獲得したI T企業ならではの戦略と言えそうです。
そもそも、業務委託契約として成立させるには、少なくとも次のような条件を満たさなければなりません(現業の職種など、明らかに業務委託契約が似つかわしくないものもありますので)。
★条件
1 指揮命令関係がない ・・・ 仕事の許諾の自由がある。時間拘束がない。具体的な仕事の進め方を指示されないなど。
2 報酬が成果と連動している ・・・ 報酬が時間でなく、委託された業務の結果と連動している。
3 本人が所有する機器や道具を使う ・・・ 機器、道具を発注者側が用意していると、従属性が高く労働者性が高まる。
★業務委託成功のポイント
① スキル
個人のスキルが「時間拘束をせず、指示しなくてもできる」レベルにある場合、業務委託として成立しやすくなります。
業界経験者などスキルがある人が「働きたい」と思う環境を整えたり、スキルを正確に測定する手段を用意したりといったことが、業務委託成功にとって重要になるでしょう。
② 報酬体系
業務をある単位にまとめ、単位ごとの報酬を明確にする必要があります。
仕事に対する報酬を細かく定義することで、提示する委託業務への報酬が明確になります。
③ 時間短縮
作業時間の短縮のためのオペレーション見直しも重要です。
頑張り次第では短い時間働いて高い報酬がもらえるとしたら、「雇用契約で長時間拘束されるより、業務委託契約で短時間働いて成果を出したほうがいい」と思う人が増えるかもしれません。時間あたりの報酬が低い場合、「業務委託は経営側の体のいいコスト削減策」とみなされ、働く人の賛同を得られなくなります。
これからの時代は、「ジョブ型雇用」が主流になるとみられます。
やった仕事に対して報酬が発生する、ということですが、これが進むと業務委託契約にいきつくと思います。
今回のヤフーの事業は、その先駆けにように感じます。今後に注目していきたいと思います。