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ごあいさつ

2017 4月一覧

本日の法律相談で

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

本日は、外部で法律相談がありました。
相談をし終わったときに、相談者から「後でうがいしてください」と言われ、このようなことを言われたのは初めてなので少し戸惑いました。

というのも、瞬時に「ニンニク食べたかなぁ?」とか考えてしまったからです(つい手を口に持って行って隠してしまいました)。

結局、その方が「私、いまかなり風邪をひいているので、うがいしないとうつりますよ」とおっしゃったのでほっとしました。
ただ、相談が終わってからではなく、最初に言ってほしかったですね。。そうすると、水分をこまめにとりながら相談をしたと思うので。

ちなみに、病院へ行くと看護師さんたちがマスクをしていないケースもけっこう目にします。
うつらないのかなと思うのですが、お茶をこまめに口に含ませることで、感染を防ぐのだそうです。
やはり乾燥は病気のもとということですね。

久々に法律相談で冷や汗をかいた一日でした。

最高裁判決が抱える問題点

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

さて、前回の認知症加害事故の「損害賠償」に関する最高裁判例についてです。

このような最高裁判決に対して、医師でもある東北大学法学部・准教授 (専門は「民法」、特に「損害賠償法」)でもある米村滋人氏は、2016年10月号『中央公論』の対談で次のように語っています。

《今回の判決は、介護する家族が責任を負うのかどうかの判断基準が曖昧です。判断基準に従えば、近所に住んだり、同居したりして、日常的に介護している人ほど、「監督義務者」として「賠償責任」を負う可能性が高くなる。

つまり、健康な人が同居して認知症の親を介護している場合、監督を引き受けたと認定される余地が十分にある。

今回は、男性の妻は介護が必要な状態で、長男も遠くに住んでいたため、両者ともに監督を引き受けたと判断されなかっただけ。

私には介護者にやさしい判決だと思えない。》、《「介護の引き受け」と「監督の引き受け」との区別は微妙です。
ざっくりいえば献身的に介護をしている人ほど、監督も引き受けたとして責任を負うリスクが高まります。これでは介護を引き受けないほうが得することにもなりかねない。

家族間などで介護の押し付け合いが始まる懸念があります。また、判決では、病院も介護施設も責任を負うことになっていますから、病院や施設が今後、認知症のお年寄りを引き受けない、もしくは施設内に閉じ込めるという“歪んだ方向”に推し進めかねない判決だと懸念しています。
病院、施設、家族の微妙なバランスで成り立ってきた介護体制が一気に崩壊する危険もあるわけです。》

『中央公論』のもう一方の対談者、和田 行男氏(認知症患者も受け入れる民間福祉事業施設の運営管理者)も次のように語っています。
《僕は、可能な限り閉じ込めない、行動制限をしないで、認知症であろうが、身体に障害があろうが、誰もが地域社会を舞台に主体的な地域社会生活を送れることを目指してきたのです。

今回の最高裁判決で、認知症の人を熱心に介護している方には、重い監督責任がかかるとされたわけですから、(ア)認知症の人の家族が介護から遠ざかろうとするか、(イ)事故を起こさないように認知症の人を家や施設に閉じ込めようとする家族や施設が出てきてもおかしくない。かつて認知症の人をベッドに縛りつけたり拘束したりすることが大きな問題となり、ようやく認知症のお年寄りの人権・尊厳が守られるようになった矢先の最高裁の判断です。残念でなりません。》と。

今後、認知症の人による加害事故が増加するにつれ、世の中の趨勢に合わせるべく最高裁判決の「判断基準」が見直される可能性があるかもしれません。

しかし現在の「判断基準」がある限り、仮に介護事業所が認知症の人の家族との間で、施設側はできる限り入所者を拘束せず、彼らの尊厳を可能な限り守るという運営方針を貫く代わり、入所者に事故があっても施設側を責めないようにするという趣旨の契約書を結んでも、施設側の責任の有無はあまり変わらないと考えられるので、要注意です。

GW中の営業について

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

GW中の営業ですが、4月29日(土)~5月7日(日)はお休み(GW休暇)とさせていただきます。

※ 5月1日(月)、2日(火)はお休み

メールによるお問い合わせはできるだけ対応致しますので、よろしくお願い致します。

最高裁判決(2016年3月1日)の内容について

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

前回の続きです。

最高裁 第三小法廷(岡部 喜代子・裁判長)は、2016年3月1日、「介護する家族に賠償責任があるかは、生活状況などを総合的に考慮して決めるべきだ」とする初めての判断を示しました。

そのうえで今回は、妻(93)と長男(65)は「監督義務者」にあたらず、<賠償責任>はないと結論づけ、JR東海の「敗訴」が確定しました。
今後、一層 高齢化が進む中で認知症患者をめぐる介護や賠償のあり方に大きな影響を与えると考えられます。

『民法』714条は、重い認知症の人のように責任能力がない人の<賠償責任>を「監督義務者」が負うと定めており、今回は家族が「監督義務者」に当たるのかどうかが争われたわけです。

JR東海は、男性と同居して介護を担っていた妻と、当時、横浜市に住みながら男性の介護に係わってきた長男に賠償を求めました。また、民法の別の規定は「夫婦には互いに協力する義務がある」と定めていますが、最高裁は「夫婦の<扶助の義務>は抽象的なものだ」として、妻の「監督義務」を否定。長男についても「監督義務者」に当たる法的根拠はないとしました。

一方で「監督義務者」に当たらなくても、日常生活での関わり方によっては、家族が「監督義務者に準じる立場」として責任を負う場合もあると指摘し、「生活状況や介護の実態などを総合的に考慮して判断すべきだ」との基準を初めて示したのです。

今回のケースに当てはめると、妻は当時85歳で「要介護1」の認定を受けていたほか、長男は横浜市在住で20年近く同居していなかったことなどから「準じる立場」にも該当しない、としています。結論は、5人の裁判官の全員一致ですが、うち2人は「長男は<監督義務者に準じる立場>に当たるが、義務を怠らなかったため責任は免れる」との意見を述べています。

今回の最高裁判決は、認知症高齢者を含む精神障害者の事件・事故をめぐっては、c.成年後見人も、a.配偶者も、b.子供も一般的に「法定監督義務者」に当たらないとし、「監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」がある場合に「監督義務者責任」を負うとしています。

その判断基準として、次の6つの基準を示しています

①本人の生活状況や心身の状況、
②親族関係の有無・濃淡、
③同居の有無など日常的な接触の程度、
④財産管理への関与の状況、
⑤本人の日常生活における問題行動の有無、
⑥問題行動に対応するための介護の実態。

このような最高裁判決について、どのような評価があるのか、次回ご紹介します。

認知症の高齢者によるJR事故に関する最高裁判決

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

さて、もう1年以上前になりますが、「認知症の高齢者によるJR事故に関する最高裁判決」がでました。
この判決の評価はいろいろあると思いますが、この判決を機に、認知症の人を介護する家族や施設・病院などの現場と、机上の法理論に傾きがちな法曹界との齟齬、そして家族や介護・医療事業者が安心して認知症の人を介護できる社会システムをどう構築するか、という点が問題になってきています。

以下、事件について簡単に述べます。

2007年12月、愛知県大府市で妻〔当時85歳・要介護1〕と2人暮らしだった認知症の男性〔同91歳・重度の認知症〕は、妻がうたた寝をしたわずかな隙に自宅〔男性の自宅兼事務所の出入り口にはセンサーがあったが、一つはスイッチが OFFになっていた〕を抜け出した後、JR東海道線の列車で1駅移動したうえ 共和駅構内の線路に下り、電車にはねられて死亡。
死亡した認知症患者の男性の家族に対し、JR東海が振り替え輸送代など約720万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した事件です。

一、二審判決は、家族の<監督責任>を認めて賠償を命じましたが、上告審(最高裁)では、(1)家族に<監督責任>があるか、(2)<監督責任>がある場合に、責任が免除されるケースに当たるか、が争点となりました。

▽一審・名古屋地裁は、妻の<監督責任>は認めなかったが「見守りを怠った過失がある」と認定。別居中の長男は「事実上の監督者に当たる」として、妻と長男に約720万円(全額)の支払いを命じました。

▽二審・名古屋高裁は、妻の<監督責任>を認めましたが、JR東海側も安全配慮義務があったとして賠償額を約360万円に減額。長男については「監督者に該当しない」として賠償責任を認めませんでした。その結果、判決を不服としてJR東海側と妻側の双方が最高裁に上告していました。

この二審判決が世間から大きな指弾を受けたせいで、最高裁は「家族の責任」を場合によって認めるという曖昧な判決を出し、結局、責任が誰にあるのかわからなくなってしまったとされています。

一、二審で被告側の代理人を務めた弁護士は、①妻が夫の監督義務者となり得るのか、②仮にそうだとしても、常識的な介護をしていて、認知症の人の予想外の行動まで責任を負うのか、と疑問を提起していました。

また介護施設の人たちからは、「認知症というだけで、介護側の事情で“あれダメ、これダメ”と行動を制限する生活を強いるやり方が認知症患者に対する<人権侵害>に当たる可能性が強い以上、建物内に閉じ込めておくわけにはゆかない。そうなると、認知症介護のプロであっても徘徊を完全に防ぐことはできない」とか、「完全に事件・事故を予防するのは不可能で、別の方法を考えるべきだ。施設の外をふらふら歩いても、すぐに近所の人が気づいて声をかけてくれればよいわけで、もうちょっとソフトなやり方で、地域内の見守りを実現するなどのやり方が建設的だと思う」といった声が続出していたのです。

次回は、もう少しこの最高裁判決を掘り下げて考えてみたいと思います。

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