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ごあいさつ

2020 11月 25一覧

1審無罪被告に希望通り逆転有罪判決 東京高裁

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

今日のニュースに一審無罪被告人が有罪を希望したケースで、東京高裁が有罪判決を出した、というものがありました。

内容は、以下のとおりです(毎日新聞を引用)。

 


 

2018年に女子高校生2人を乗用車ではねて死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われ、1審で無罪とされた前橋市の川端清勝被告(88)に対し、東京高裁は25日、禁錮3年の逆転有罪判決を言い渡した。近藤宏子裁判長は「一方的な過失で重大な事故を起こした。被告の刑事責任は相当に重い」と述べた。川端被告側は1審の無罪主張から一転して控訴審で有罪判決を求める異例の主張をしていた。

1審の前橋地裁判決(20年3月)は、被告が、低血圧によって意識障害の状態に陥って事故を起こしたと認定。川端被告は事故以前に医療機関を受診していたものの、意識障害に陥る危険性は指摘されていなかったとしていた。

これに対し近藤裁判長は、医療機関を受診したことは「意識障害に陥る危険を予見できたことを裏付ける事情」と指摘。被告が事故の数日前、2度も物損事故を起こし、家族からも運転をやめるよう強く言われていたことを挙げて、「運転を差し控えるべきだと思い至る契機があった。身勝手な判断で重大な事故を起こした」と述べた。

川端被告の弁護人は今年10月に始まった控訴審で「被告は罪を償い、人生を終わらせたいと思っている」と有罪を求めていた。上告しない方針という。

判決によると、川端被告は18年1月9日朝、前橋市で乗用車を運転中に車線を逆走し、自転車に乗って対向してきた高校生の太田さくらさん(当時16歳)を死亡させ、別の女子高校生(当時18歳)にも重傷を負わせた。

 


 

無罪主張を一審でして無罪となり、その後有罪主張をする、ということは、弁護人としてはなかなか対応が難しかったと思います。
ただ、本人が罪を償うとして有罪判決を望めば、その意向に従わざるを得ないです。
(弁護士としては、なら最初からそう言って欲しかった、というのが本音)

この判決をした近藤宏子裁判長は、自分が修習生時代に配属された刑事部の部長で、いろいろご指導もいただきお世話になりました。
この方は、美人で、かつ頭がよく、いい方です。女性修習生の憧れといった感じでした。

判決を読んでいないのでよくわかりませんが、「原因において自由な行為」といった論理なのでしょうか。
いずれにしろ、被告人は上告しないということなので、罪を償って前を向いて生きていってほしいですし、重傷を負った被害者の方にも今回の裁判を一つの区切りとして前を向いていってほしいと思います(亡くなった被害者の方には取り返しのつかないことで遺族の無念は想像に難しくありません。ご冥福をお祈り致します)。

 

※ 原因において自由な行為
例えば、泥酔者は一時的ながらも心神喪失もしくは心神耗弱(こうじゃく)の状態にあります。
心神喪失者や心神耗弱者が不法な行為を犯した場合、刑法第39条の規定により犯罪不成立もしくは刑の減軽となるのが法律です。

しかし、車を運転することを予定しながら飲酒により泥酔し、そのまま自動車を運転して事故を起こした場合、刑法39条の規定を適用せず即座に危険運転致死傷罪が成立し、心神喪失(心神耗弱)状態であったにもかかわらず完全な責任が問われる、という理論です。
また、「泥酔した状態で人を殺そう」という計画を立て、凶器を用意して酒を飲み、計画どおり泥酔状態で殺害に及んだ場合も殺人罪が成立し、刑法39条を適用しない、といったことになります。これを刑法学では「原因において自由な行為」といいます。

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