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ごあいさつ

【コラム】パナマ文書③

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

今週は、非常勤裁判官の臨時出廷日があったので、週2回名古屋の裁判所へ行きました(どうしても関係者の期日が入らなかったというものです)。
臨時で行ったかいあってか?無事調停が成立し、安堵しました。

調停は、不成立か調停成立かで大きく結論が分かれますが、不成立ですと紛争が残ったままとなりますので、裁判官の立場としてはできるだけ調停成立としたいという気持ちがあります。

調停委員もベテランの弁護士が担当している件であると、参考になる部分もありますね。今回の成立も調停委員の進め方が素晴らしかったと思います。
違う場面でぜひ生かせれたらと思っています。

さて、久しぶりに【コラム】の続きを転載します。

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1 先進各国とも「課税強化」の必要性に迫られている。

先進国はどこも財政が悪化し、景気を刺激する財政対策と財政規律とが攻めぎ合って、政府は有効な手だてを打てないのが現状です。

背景には「税金逃れ」に走る巨大企業や富裕層がいて、税収不足の解消を庶民への間接税(日本の消費税、欧米の付加価値税)の増税に頼り、納税者の苛立ちが政治を一層不安定にするという悪循環があります。

また、1980年代以降、新自由主義による経済運営の影響で、各国内の《経済格差》が拡大しています。
さらに2008年9月の米国発の《リーマンショック》(=金融危機)による深刻な影響を受け、ここ数年、欧州では企業や富裕層による《租税回避地》の利用に対する怒りが溜まっていたと言われています。

ドイツに主導されるEUの各国政府は緊縮財政に取り組むとともに<課税強化対策>も進めており、租税回避地への規制は年々強化される方向にありました。そこに『パナマ文書』問題が起こったのです。

そのため今、世界中の先進国は、一部の富裕層と多国籍企業が税金の逃避先として利用しているタックスヘイブン(tax haven“租税回避地”の意味)を無視できなくなり、《強者による税逃れ対策》を前面に打ち出す必要に迫られているわけです。

金融や税の専門家によると、《租税回避問題》は「市場経済が作り出した闇」であり、「金融資本主義の自画像」といわれています。税金で成り立つ「国民国家」にとって、タックスヘイブンを利用した《税金逃れ》は最大の背信行為で、いわば金銭面で国家転覆を図ろうとするようなものです。しかも世界で名だたる企業や、権力を握る政治家、人も羨む大金持ちが利用しているからタチが悪いのです。

さて、税制度は「国家主権」の最たるものです。英国の離脱で騒がれているEUにしても、一部の例外を除き、通貨はユーロで統一されていますが、税の仕組み、つまり財政制度は各国の運営に任されています。

そのような中で、一部の政治家や富裕層、多国籍企業などの《強者による課税逃れ》がまかり通れば、「国民国家」は持ちこたえられません。

彼らが本来、税金を納めるべき国に納めず、国内的に税制の歪みが出てくれば、その国の国民は黙っていないでしょう。『パナマ文書』問題はそういう深刻な問題を引き起こしているのです(つづく)

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