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2017 3月 14一覧

医療分野のビッグデータはどのように活用されるか?

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

最近、“ビックデータ”という言葉をよく聞きますね。
ビックデータとは、文字通り、人の移動や消費の履歴など暮らしや経済活動で生み出される膨大な電子情報をいいます。

ハード面ではコンピュータの性能が飛躍的に良くなり、ソフト面でも人工知能(AI)が発展して、大量のデータを目的に沿って効率的かつ迅速に解析できるようになったことが背景にあります。

なかでも、政府がビッグデータ活用により公益面で効果が大きいと期待しているのが、医療分野のビッグデータです。今年に入り、医療ビッグデータの新法である『医療分野の研究開発に資する医療情報提供促進法案』(仮称)の概要が明らかになりましたので、紹介しておきましょう (政府は今年1月20日召集の通常国会にこの法案を提出、2018年中の成立・実現を目指しています)。
政府の狙いは、<個人の医療情報>をビッグデータとして集約し、(ア)各種疾病の治療法の確立や (イ)新薬開発、(ウ)医療費の抑制につなげることです。

-1.国が、医療系の学会や医薬品の開発などを行っている団体を「認定機関」に指定する(→全国に数か所つくる方針)。
-2.「認定機関」が病院や薬局などが保有している患者の治療や投薬に関する情報を集められるようにする。
-3.「認定機関」は、集まった情報を匿名化して大学など研究機関に提供する。

(ア)各種疾病の治療法の確立については、医療ビッグデータを集約することにより、多数の症例や治療経過を分析することが可能になり、「治療効果の検証」や「副作用の発見」などに繋がり、これまで明らかにされなかった複数の病気の関連性もわかる可能性があると考えられています。

医療情報は、『個人情報保護法』で第三者に提供する際に<本人の事前同意>が必要とされていましたが、『改正個人情報保護法』では、d.病歴は a.人種、b.信条、c.犯罪歴などと同じく「要配慮個人情報」に位置づけられ、厳格な取り扱いが求められています。

しかし、政府は、<医療ビッグデータの有用性>を重視し、「認定機関」に限って“例外措置”として<同意は不要>とし、患者が拒否した場合に限り、情報が提供されない仕組みとする方向で検討しているようです。

また、情報流出を防ぐため「認定機関」の情報システムを外部ネットワークと分離し、利用者も限定するとしています。個人情報の流出などの事態が起きた場合の罰則のあり方などについては、引き続き検討しています。

次回は、EUの「一般データ保護規制によるプロファイリング規制」と我が国の「改正個人情報保護法」との関係について書きます(つづく)

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