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2020 2月 8一覧

就職情報サイト「リクナビ」問題から見えてきたこと

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

ちょっと前にリクナビ問題がニュースを賑わしました。
すなわち、《就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活登録学生の同意を得ずにAIを使って予測した「内定辞退率」を取引先の38社に販売していた問題》で、政府の「個人情報保護委員会」は、8月26日、リクルートキャリアに「是正勧告」を出しました。

同社の<個人情報の取り扱い>がずさんで修正する体制もなかったと判断し、「個人情報を扱う企業」として適切な体制整備と再発防止策を求め、9月30日までの「報告」を求めました。
問題視されたのは、リクルートキャリアが展開する「リクナビDMPフォロー」と呼ぶサービスです。

学生のリクナビ上の<閲覧記録>などを解析して「内定辞退率」を算出し、企業に1社あたり年間400万~500万円で提供していたとされています。さらに約8千人の利用者のデータを“同意を得ず”に第三者に提供したことなどが、『個人情報保護法』違反にあたると判断されたのです。同委員会が問題視したのは、下記の3点です。

① 約8千人の登録学生の“同意を得ず”に顧客企業に個人情報を販売したこと。
(←*『個人情報保護法』は、本人の同意なしに個人情報を第三者に提供することを禁じています)
② 同意を得ていた利用者(約75,000人)に対しても「利用目的」などの説明が不足していたこと<*1> 。
③ 7月に「個人情報保護委員会」から指摘を受けるまで状況を放置していた会社の管理体制の不備。

<*1> 説明が不足していた
リクルートキャリアは、サイト利用規約に「採用活動補助のため、利用企業に情報提供することがある」と記載しているとして、<登録者の同意を得ていた>と主張しましたが、この説明から利用者が納得するのは難しいと思われます。

東京労働局も8月上旬、同社に調査に入りました。
『職業安定法』の指針は、<個人情報の適切な管理>を求めており、違反があれば所管の厚生労働大臣による「行政指導」が行われます。

今回のケースは、学生側から同意を得たか否かにかかわらず、同法が禁ずる「特別な理由のない、個人情報の外部への提供にあたる」と判断されたものです。
知らぬ間に集められたデータで自分が“評価”され、自分たちの人生や社会が大きく左右される》という現実が今まさに起こっています。
このことについてようやく政府も本腰をあげるようになってきましたが、FBなどでも同じようなことが起こっています。

個人情報は、「指紋」と一緒という人もいるように、ネットの世界では気づかないうちに自分たちの情報が丸裸にされている現実には、今後気を付けていきたいですね。

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