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ごあいさつ

法定相続情報証明制度

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

先月、私の祖母が他界しました。今後相続手続がまっていますが、相続手続の作業はけっこう大変です。
相続人に負担のかかる場合が多く、親から引き継いだ土地などを相続するために、<名義変更>を諦める人は大勢いると推測されます。

大変な事例をあげると、相続人が全国各地に散らばっている場合があり、亡くなった人も含めて、相続人全員の戸籍を集めるのに長い時間を要する場合があります。実際、東日本大震災の復興事業が、そのような事情のために大幅に遅れたケースは多々あると言われています。

《遺産相続の手続き》のなかで大変なのは、a.戸籍集めと b.住民票などの書類を整備することでしょう。
現行制度では、遺産が多岐にわたる場合には、-1.<不動産登記の変更>や -2.<銀行預金の解約>などのため、申請の都度、大量の書類一式を「登記所」や「金融機関の窓口」へそれぞれ個別に提出しなければなりません。
特に -1.<登記変更>では、a.戸籍謄本や b.住民票など数種類の書類が必要となります。申請先の ⅰ「登記所」や ⅱ「金融機関」も、提出者が法的に正当な相続人かどうか逐一審査するなど、煩雑な手続きに時間と人手がかかっています。
こうした現状を改善しようと、法務省が新たにスタートさせた新制度が『法定相続情報証明制度』です。
(法改正は必要なく、「不動産登記規則」の改正で対応しているようです)

新制度は、「第1段階」として、

-1a.相続人の1人が全員分の本籍・住所・生年月日・続柄などを記した「関係図」を作り、
-1b.亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の現在の戸籍をそろえて登記所に提出する。
一方、登記所は提出書類の内容を確認した上で、相続手続きに必要な戸籍の情報が記載された『証明書』を発行する。

「第2段階」として、
-2.相続人は『証明書』の写しを遺産の土地を管轄する別の登記所や、預金先の金融機関などに提出する。この際、改めて戸籍関係書類などを用意して提出する必要はなく、『証明書』1枚で済むため、相続人の負担は軽減される。申請先の登記所や金融機関も、相続人の正当性を各自で審査する手間が軽減され、手続きの迅速化が見込まれる。--というものです。

このような改正案について、一部の不動産関係者からは「遺産相続に伴う<不動産の名義変更>がスムーズに進むことで、所有者不明の土地や空き家などの問題解決の前進につながる」と期待する声があがっています。

しかし、今回の《相続手続きの簡素化》では相続人の負担はある程度軽くなりますが、<相続登記>は法律上の義務ではないため、「相続する不動産の価格が低ければ、時間と金をかけて登記するより、放置する方が得策」との相続人の判断を覆すまでには至らない場合もあるのでは…、と指摘する専門家もいます。

法務省は、2017年度予算の概算要求の重点事項として《相続登記の促進》を掲げ、現在政府は<相続登記>を義務化するなどの方向性も検討しているようです(これまで<相続登記>を促進する特効薬は依然として見つかっていないのが現状でしたので、法律で強制的にでも進めるということだと思います)。

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