残業代について
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
働き方改革関連法の施行により、残業の上限規制が中小企業でも始まろうとしています。
残業時間そのものが上限にかからないよう、より一層の労務管理をしなければならない一方で、残業代の計算誤りにも注意しなければなりません。
例えば、残業時間を集計する際に、日ごとに15分単位や30分単位で切り捨てて計算する誤りがよく見られます。
残業時間については、労働基準法で1日について1分単位で集計する義務があります(ただし、1ヶ月単位で集計した残業等時間を30分単位で四捨五入することは認められています)。
この点は、間違っている会社はけっこうあるように思います。
自分が顧問弁護士をやっている会社では、このような間違いはないと思いますが、社長さんで間違った考え方をしている人は多いと思います。
次に、よく間違いがあるのは、手当の点ですね。
残業の1時間あたりの単価を計算するとき、基本給だけを対象にする間違いがよくありますが、実際は手当も含めなければなりません。
ただし「残業単価計算に含めなくていい手当」が限定的に決められています。
下記の手当は原則として単価計算に含める必要はありませんが、住宅手当など支給方法によって除外できない場合があることに注意が必要です。
残業単価計算から除外できる手当
・家族手当 ・通勤手当 ・別居手当 ・子女教育手当
・住宅手当※ ・臨時に支払う手当
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
※ 住んでいる状況に関わらず一律に支払われる住宅手当は除外できない
なお、歩合給についても残業計算を行う必要があります(歩合給の場合、「1ヶ月の歩合給÷残業込みの総労働時間×割増率」により割増賃金をもとめます)。
残業代の時効も5年になる時代ですので、残業代で会社がつぶれるということもこれから起こってくると思います。
このような時代だからこそ、手当や労務管理については、より一層気を付けなければならないでしょう。
- 2019-08-09