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ごあいさつ

管理監督者

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

当事務所でも、会社内の紛争で、その人物が管理監督者に該当するか、という問題に直面したことがありました。
管理監督者とは、企業の中で相応の地位と権限が与えられ、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場と評価することができる従業員のことをいいます。労働基準法第41条2号では「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」と定義しています。労働基準法で定められた労働時間、休日等に関する規制が適用されないことも特徴です。

マクドナルドでの事件でも示されたように、この該当性はハードルが高く、残業代を支払う必要のない労働基準法上の管理監督者は中小企業にとって高いハードルといえます。
管理監督者に対しては残業代などの割増賃金の支払いが不要となりますが、その適用基準は非常に厳しく、中小企業におけるほとんどの役職者はこれに当たらないとされています。

ですが、権限の程度によっては管理監督者と認められる場合があります。

労基法上の管理監督者と認められるか否かについては、以下の表の通り①賃金額②責任と権限③出勤の自由性④職務内容が主な判断基準となります。

① 賃金額 ・・・ その職務の重要性に相応しい待遇がなされているか
② 責任と権限 ・・・ 採用、解雇、人事評価、労働時間管理などの決定権、責任を持っているか
③ 出勤の自由性 ・・・ タイムカード等で時間管理をされているか、遅刻欠勤による減給などがされているか
④ 職務内容 ・・・ 現場作業でなく、全体を統括するような職務に就いているか

前述のように、中小企業におけるほとんどの役職者は、管理監督者に当たらないとされていますが、中には管理監督者と認められた事例もあります。

2022年8月のある裁判において、従業員規模30人程度の会社の営業部長職にいた労働者Aが管理監督者として認められました。

その際、Aの職務内容と権限について、以下のような内容であったことが管理監督者の根拠とされました。

管理監督者権限に当たるとされた根拠
①上位者(Aより上位の者)は社長と非常勤の専務のみ
②重役会議への参加
③社内稟議書の決裁、退職届の受理の担当
④採用面接の担当
⑤主要部門の売り上げ目標の立案
⑥従業員の賞与額の決定

この事例において、当該Aの年収は600万円〜670万円程度であり、職種によっては必ずしも高額とは言えないものでしたが、人事の権限や売上目標立案などの職務内容が正に「経営者と一体となって(他の労働者を)管理・監督する立場の者」である根拠とされました。これは、管理監督者の判断が「権限」に重きを置かれることを示唆しているでしょう。

管理監督者として扱う場合は、特に「採用、経営戦略の企画・立案、解雇、人事評価、経営者不在時の代行権限」などを担う立場であることを確認する必要があるでしょう(名前だけでは、通りません)。

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