被害者請求
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
さて、交通事故の被害者が、加害者の自賠責保険に被害者請求することがよくありますが、注意すべき点は何でしょうか。
自賠責保険では、被害者保護の観点から、通常行われる過失相殺はせずに、被害者の落ち度がかなり大きいときにだけ(7割以上)保険金額を一定の割合で減額して支払っています(いわゆる重過失減額というやつです)。
また、被害者の死亡と事故の因果関係の認定が困難な事案については、割合的因果関係のような考え方をして5割減額という運用が行われています。
ところが、いずれも訴訟になると、通常の損害賠償の損害算定方式で算定された額の範囲でのみ、自賠責保険からも支払われることになります。
例えば、死亡事故で、損害額が4000万円、被害者に90%の過失があった場合、自賠責保険では50%減額がなされ、死亡保険金額3000万円×0.5=1500万円が支払われるのに対し、判決では、3000万円×0.1=300万円の賠償額しか認められませんので、自賠責保険に被害者請求をしたほうが、訴訟をするより被害者に有利になることになります。
このように、大幅な過失相殺事案では、訴訟に先んじて被害者請求を行うことが大変重要になってきます。
この被害者請求という手続、資料はすべて被害者側が病院と交渉したりして手に入れないといけないので、かなり手間もかかりますし、想像以上に大変です。被害者請求については、弁護士に相談してみた方が結果的に安心できると思います。
- 2016-07-05