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ごあいさつ

民事と刑事の違い

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

今日は、よく聞かれる刑事裁判と民事裁判の違いについて、お話したいと思います。
刑事裁判と民事裁判は、まったく別のものです。

刑事裁判の目的は、秩序維持(公益)であり、国家が積極的に関与します。
刑事裁判は何をするのかというと、犯罪を犯したとされる者に対し、刑罰法規を適用します。すなわち、国家を代表する検察官から犯罪を犯した者として公訴提起(起訴)された者(被告人)を裁くための裁判です。
裁判所は、有罪か無罪かを判断し、有罪であれば、死刑、懲役、禁固、罰金などの刑を決めるのです。だから、訴える人は常に国家(それを代表する検察官)で、裁かれる人は「被告人」、国民です(法人の場合もあります)。

これに対し、民事裁判は、国民に自由処分が認められている事柄についての私人と私人との間の私的な紛争の紛争解決が目的です(国家は求められなければ原則として関与しません)。
民事裁判は何をするのかというと、基本的に、国民同士の争い、紛争の解決のための裁判をします(訴える側を「原告」、訴えられる側を「被告」と呼び、「被告人」とは言いません)。
原告と被告との間で話合いで解決ができない場合、民事における裁判をするための民事法規を適用して、紛争の解決をするのです(その他、原告と被告がお互いに譲り合い互譲しあって紛争を解決する裁判上の和解もあります)。
紛争の抜本的解決として和解は好ましい形態であることから、裁判官は和解を勧告したり、和解を勧めたりすることがあります。

社会的に同じ事件を民事と刑事で争うことがありますが、法律上同じ事件ではありません。
民事裁判と刑事裁判では目的が異なるので、同じ「出来事」であっても、別の目的、別の観点から裁判を行うので、「同じ事件」ということ自体表現として不適切といえます(全く、別のものです)。

例えば、大相撲の日馬富士が貴ノ岩に暴行を振るった事件がありました。日馬富士は引退しましたが、それは置いておいて民事と刑事の観点から考えてみますと、まず貴ノ岩は頭にケガを負い、貴ノ岩側は被害届を出して処罰を求めたことから、日馬富士は傷害罪で略式起訴され裁判所から罰金50万円の処分を受けました(秩序維持を目的とする刑事事件)。

そして、貴ノ岩は、被った休業損害やら逸失利益やら慰謝料を求めた民事裁判を裁判所に提起しました(数千万円の損害賠償だった記憶です)。結果的に、貴ノ岩側が訴えを取下げましたが、民事裁判は私人が私人に損害を賠償してくれ(=金払え)というもので、私的紛争の解決が目的となりますので、訴えの取下げなど私人が主導して裁判が進んでいくのです。

このように、両者は全く別のものなので、テレビのニュースをみるときは区別してみてもらいたいと思います。

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