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ごあいさつ

事実と真実

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

民事裁判においては、裁判所で事実が認定されますが、それが真実とは限らりません。
たとえば、AがBにお金を貸したとして、契約書はなし。
お金は手渡ししたので、銀行の振込記録も残ってません(その他貸したという証拠は一切なし)。

こういったケースで、Aが「貸した」と主張し、Bが「借りていない」と主張したとき、実際には(真実は)貸したという事実があったとしても、裁判では「貸した事実はなかった」という事実認定がされることもあります。

これは、民事裁判のルール上、仕方のないことなのです。

裁判では、誰かと誰かの争いを第三者である裁判官が判断します。
しかし、互いに異なる事実が主張されたとき、第三者の裁判官からすれば、どちらが正しいことを言っているのかわかりません。
したがって、裁判には「ある事実の存在を主張する人がそれを証明する証拠を出して立証しないといけない」というルールがあります(立証責任といいます)。

したがって、「貸した」という事実の存在を主張するAが、契約書などで立証しないといけません。
しかし、Aはこれができないので、たとえ本当に「貸した」のであっても、裁判では「貸した事実は存在しない」という事実認定がなされるのです。

証拠がない事実は、裁判所では認められない、のですね。

裁判というと、片方が真実を言っていて片方は噓を言っている、と思う人も多いかもしれませんが、実際の裁判はそうでもないケースも多いです。
両方とも、真実を主張している、という場合だってあるのです。

法律の世界で「真実はいくつもある。しかし事実はひとつだけ」という言い方がされることがあります。

先ほどの例でいえば、Bは「あの金は借りたのではなく、もらったものだ」と反論した場合、じつは、お金の授受がされたときに2人の間であいまいな言葉が交わされていて、Aは「貸した」という認識で、Bは「もらった」という認識だった。

AとBでお互いの考えにずれがあった、というわけです。

小室さんのケースもこういう要素があるような気がします。
だから、お互いが真実だといいはるわけですね。

曖昧な約束だったので、お互いが勘違いしている、という可能性もあります。
ただ、裁判では、「貸した」という事実を主張するAが証拠で証明できなければ、Aの負けとなるわけですね。
(なので、小室さんのケースで裁判をすれば、小室さんが勝つだろうと思います。ただ、それでいいのか・・・という感覚が日本人にあるということだと思います)

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