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ごあいさつ

2021 5月 10一覧

ハンコについて

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

新型コロナ感染症対策を目的、契機とした新しい生活・ビジネス様式への移行、定着を図るため、官民において、押印の見直しが進められています。
税務関連では、国税関係書類が、原則として押印不要となりました。

さて、押印廃止の流れがありますが、そもそも、文書に押印があることの法的な効果は何でしょう。

我が国には、伝統的に押印文化があり、実務では、本人であることの確認と、本人の意思確認の方法として重用されてきました。

押印の法的効果は、文書の真正な成立が推定されることにあります。

民事訴訟法および判例では、次のとおりとされています。

【押印の法的効果(二段の推定)】
ある文書に、ある印章によって押印された文書の作成名義人の印影があるとします。
その作成名義人の印影が、作成名義人本人の印章によって押印されたものであれば、特段の事情のない限り、その印影は作成名義人本人の意思に基づき押印されたものであると推定されます(一段目の推定:最高裁判決)。

そして、(作成名義人本人の意思に基づく)本人の押印がある私文書は、民事訴訟法第228条4項により、その本人が作成したものであること(「文書の真正な成立」という)が推定されます(二段目の推定・条文)。

なお、同条同項の推定の効果は、署名にも及びます。
つまり、文書の真正な成立が裁判上の争いになったときに、立証の負担が軽減されるということです。

したがって、押印以外の方法、例えば、文書の成立経緯を裏付ける資料等により、文書の真正な成立を立証できるのであれば、押印は不要ということになります。

ちなみに押印のない契約書も法的には有効です。
契約は当事者の意思の合致によって成立しますので、法律に特別の定めがある場合を除いて、書面の作成とその書面への押印は必要な要件とされておらず、口頭でも契約は成立します。

ハンコの廃止とか話題になっていますが、法律的な話ではハンコは重要なツールであって、簡単に廃止とかならないで欲しいですね。
昨日のテレビ番組でも、外国のサインとかだと誰のサインかわからないから、証人を連れ来る話になる。日本は、国が印鑑を登録してくれるから証明が楽なんだ、と。むしろ先進なんだと言っていましたが、印鑑もいいところがあるので、その辺も含めて議論してほしいですね。

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