生前贈与で大損?
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
生前贈与で大損する人がいます(私に近い人でもそういう人がいました)。
実は相続した方が“おトク”なケース があるんです。
夫の死後、妻が自宅に住み続けるつもりなら、遺言書を書いて自宅を相続させるのが基本。
子どもにも、「俺が死んだら、母さんが自宅を相続するから」と伝えておく。揉める可能性があるなら、遺言書を用意して、配偶者居住権の設定も検討したいですね(ここは最近の民法改正のところ)。
自分の死後、妻が自宅の名義変更をせずに済むように、今のうちに自宅を妻に渡しておけばいい、そう考える人もいると思いますが、要注意です。
確かに、結婚20年以上を過ぎた夫婦であれば、自宅を2000万円まで非課税で渡せる特例があります(いわゆるおしどり贈与)。
しかし、これは払う税金が増えるので、やめた方がいいですね(相続の方が断然お得)。
●贈与をした場合、固定資産税評価額の2%の登録免許税と、最大3%の不動産取得税(住宅特例あり)
⇔ 相続であれば登録免許税は0.4%、不動産取得税は非課税
さて、自宅の次に考えるべきは妻に預金をどれくらい、どうやって残すかになります。
預金についても、妻への生前贈与を考える人もいるかもしれません(これがけっこう多い誤解です)。
しかし、これはほとんど無意味です。
夫から妻が相続する場合、1億6000万円まで相続税がかからないからです(このことをほとんど知らない人が多い)。
どうせ死後に無税で相続できるのに、贈与をするのは年間110万円まで無税ですが、贈与契約書などを作ってないと後で税務署が口を突っ込んでくることもありますし、110万円を超える部分は税金が発生します(通帳など細かくみられる可能性も。立証できないと相続税を払わないといけなくなるかも)。
妻への相続について決まったら、子どもに残す財産についても考えておいた方がベターです。
1億円を超える資産があり、妻が相続したとしても到底使い切れない。そうした場合は、妻から子どもに財産を相続したとき(二次相続)、多額の相続税が発生してしまうので、そういう場合は子どものことを考えて財産を分けた方がお得です(甘やかしてはいけないので、税金でもっていかれた方がいいと考える人もいるでしょうが)。
相続税の専門分野は、「税理士」になりますが、ここに書いた程度の知識は、頭に入れておいた方がいいでしょうね。
- 2021-06-10
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- by 豊田シティ法律事務所