マンションに関する改正要綱案
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
この土日の中日新聞の特集に「老朽化マンションに潜むリスク」のような記事があり、だんだんとこういう問題が増えていくだろうなぁと新聞を読んで思っていたところ、本日、老朽化した分譲マンションの再生促進策を議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会が、マンションの管理方法を定める区分所有法の改正要綱案を取りまとめた、というニュースがありました。
一定の不具合が認められるマンションは、建て替えに必要な所有者の賛成決議の割合を「5分の4」から「4分の3」に緩和され、2月に予定されている総会を経て法相に答申され、政府は26日召集の通常国会に改正案を提出する方針のようです。
国土交通省の推計では2022年末現在、全国の築40年超のマンション数は約126万戸に上り、20年後には445万戸に増えると見込まれています。
マンションと所有者の「二つの老い」への対応が急務となっているようで、問題は根深いといえます。
マンションの「二つの老い」とは、マンションは年月を経る中で建物の劣化は進み、修繕の出費がかさんでいくことが一つの老い。
一方で、所有者たちの高齢化も進み、年金生活者が増えていくというのが二つ目の老い。
年金生活者が増えていくなかで、多額の立て替え費用や修繕費用を出すことは難しい状況になっていることが多いです。
さらに、お金の問題以外にも、高いハードルがありました。
というのも、区分所有法は、死亡や相続で連絡がつかず、決議に参加しない所有者を「反対」と扱うよう求めており、所有者不明で合意形成が進まなくなるとの懸念が指摘されていました。
そこで、要綱案はまず、住人らの請求によって、裁判所の判断で所在不明所有者を決議の分母から除外できる仕組みを創設し、その上で、耐震性や火災への安全性不足や周辺に危害や衛生上の害を与える恐れ、バリアフリーへの不適合――があるマンションについては賛成決議の割合を4分の3とする新たな建て替え要件を定めたわけです。
建物の骨組みを維持しながら全体をリノベーションする工事や建物の取り壊しについても、現行の「全所有者の同意」という要件を緩和し、新たな建て替え要件にそろえるとしています。
マンション問題は、これからたくさんの問題が出てくる可能性があります。
少しでもマンション問題がスムーズに解決するよう、今回の改正要綱が早く法改正まで行って欲しいと思いますね。
【↓の図は、時事通信社より】
- 2024-01-16