不動産賃貸借契約のルール変更
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
さて、令和2年4月1日から不動産賃貸借契約のルールが見直されています。
まずは、
1 通常損耗は借り手に原状回復義務なし
不動産賃貸の契約終了時に、借り手が貸主に物件を返還する際、旧民法では、原状回復の範囲について明文化された規定がなかったことから、トラブル発生時には、判例の積み重ねによって法的な解決が図られてきました。
改正民法では、これまでの判例の考え方に基づき、原状回復義務の範囲等について、「借り手に原状回復義務があるとしたうえで、通常の使用によって生じた損耗(通常損耗)や経年変化については、借り手の原状回復義務の範囲ではない」ということが明文化されました。
2 「敷金」は原則として返還する
契約時に借り手が貸主に支払った敷金についても旧民法では明文規定がありませんでしたが、改正民法では、敷金について「保証金などその名称にかかわらず、借り手が家賃の不払いに備えて担保として貸主に交付する金銭」と明確にされました。つまり、不動産賃貸の契約終了後には、貸主は敷金を返還しなければなりませんが、未払家賃や損害賠償金、原状回復費用については、敷金から差し引くことができます。
借り手に家賃の未払いがあるときは、敷金から未払額を充当できるため、貸主にとって、敷金は非常に重要です。
3 駐車場、資材置き場などの土地の賃貸借期間が最長50年になる
例えば、ゴルフ場、駐車場、資材置き場、太陽光発電事業用地など、借地借家法の適用のない「建物の所有を目的としない土地の賃貸借」について、改正民法では、契約期間の存続期間が現行の20年から最長50年に延長されます。
借地借家法が適用される「建物の所有を目的とする土地の賃貸借」については、従来通り上限はありません。
民法が改正されてからもうすぐで1年になります。
不動産賃貸借については、身近なところなので、こういった法律の改正はしっかり頭に入れておきたいですね。
不動産関係は、いろいろな登場人物や背景があるので、なかなか奥が深いです。
- 2021-02-04
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- by 豊田シティ法律事務所