「身元保証書」に記載すべき損害賠償額の上限について①
こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。
今日は、社会福祉協議会の相談と国選弁護人の担当日で、国選弁護人は外国語の通訳事件でした。
通訳人さんと連絡をとり、通訳してもらいながらの接見ですので日本人の方の二倍時間がかかります。
あと、母国と違う制度もあったりするので、質問がけっこうあったりします。権利意識も日本より高い人も多いですね。
また、社会福祉協議会もこのコロナショックの中、相談枠がすべて埋まっており、当日欠席もありませんでした。
話を聞くと、平日の市役所無料法律相談は、仕事でいけないので、土曜日の社会福祉協議会の相談は、非常にありがたいとのこと。
土曜相談のニーズもけっこうあるのだな、と再認識しました(当事務所でも事前予約があれば土曜相談は可能です)。
さて、民法の改正により2020年4月から入社時の「身元保証書」に損害賠償額の上限記載が義務付けられます。
法改正の解説と「身元保証書」の注意点について取り上げます。
入社時、労働者の親や親戚などにサインしてもらう「身元保証書」は、一昔前に比べると提出を求めない会社が増えているものの、現金を取り扱う業種や特別の秘密を取り扱う業種などでは用いられています。
この身元保証書についての4月からの法改正と、今後の運用上の注意点について解説します。
というのも、顧問弁護士をさせていただいている企業の担当者から、今年の新入社員との契約について「身元保証書」をどう変更していけばよいか、質問がありました。
まさに今年は、手を入れないといけない時期ですよね。
身元保証書の目的
身元保証書を提出してもらう目的は主に次の2つです。
⑴採用者の身元の証明のため
⑵採用者が原因で損害が発生したとき、連帯して損害賠償をしてもらうため
採用者が社会的に見て問題のない人物であるかを、周りの人に一筆書いて保証してもらう意図があります。
身元保証者に損害賠償などの迷惑が及ぶ可能性があることで、採用者の不法行為や職務怠慢を抑制する意味もあるでしょう。
法律的意味と制限
身元保証書の提出をさせることは会社の法律的な義務ではないため、提出を義務付けなくても問題ありません。逆に、会社が就業規則などで提出を義務付け、提出しない者に懲戒処分を与えることは可能です。また、身元保証契約には法律で以下の有効期間が決められています。
・就業規則等に期間の定めがないときは、3年
・期間の定めがある場合も、最長5年
身元保証の効果を継続するためには、保証期間が切れる前に新たな身元保証書を提出してもらう必要があります。
法改正の内容
2020年4月からは、身元保証人の賠償額について「上限」を決めなければならなくなります。
法改正後、上限の記載のない身元保証書はその身元保証契約自体が無効になります。つまり、今までは身元保証書で「会社に損害があった場合は、本人と連帯して賠償する」と記載されていた部分について、「会社に損害があった場合は、〇〇万円を上限として本人と連帯して賠償する」と記載しなければならなくなります。
長くなってきたので、続きはまた近いうちに書きますね。
- 2020-03-01
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- by 豊田シティ法律事務所