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2020 3月 22一覧

新型コロナウイルスに関連する賃金の支払いについて

こんにちは。豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

 

さて、新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう中、従業員の賃金の支払いについて迷うことが多くなりました。

テレワークなどの柔軟な就業ができない業種の場合、どのように賃金支払いを考えればよいかについて整理しました。

 

基本的な考え方
感染症と賃金の関係について、基本的な3つの考え方があります。

1.国等が指定している感染症にかかった人は感染拡大を防ぐために就業を禁止しなければならない。
厚生労働省のHPによると「新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。」とあります。

つまり、新型コロナウイルスにかかった人を休ませる場合については無給でもよいことになります。

 

2.「会社の都合」で休ませる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない。
例えば工場で生産調整をするため工員を休ませる、接客業で来客が減ったから休ませるなどの場合、「会社都合の休業」となり、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。

 

3.労働者は健全な労務を提供する義務がある。
雇用契約とは、役務を提供する(=会社の命令を聞いて働く)労働者の義務と、賃金を支払う会社の義務をお互いに約束する契約なので、働く人は当初期待されたレベルの健全な労務を提供しなければなりません。

怪我や病気で労務を提供できないのは労働者の事情で、いわば契約不履行とも言えるものです。

新型コロナウイルスに感染したかどうかわからないが発熱があるなどの場合、まずは「医療機関・保健所などから就業制限されているか」「客観的に見て労務提供ができるのか」を検討するべきでしょう。

 

現実の対応
しかし現実的には、労働者の安心のために何らかの給与保障を企業として検討せざるを得ないでしょう。

方法としては①有給休暇②助成金などの対応が考えられます。

【①有給休暇対応の是非】
本人都合で休んだ場合、通常は欠勤扱いとなるところですが、そこに法定の年次有給休暇をあてることは可能です。

一方で、休業手当の支払い義務があるケース(会社都合休業)において、有給休暇を使わせることには問題があります。

なぜなら、年次有給休暇は出勤の義務がある日に使用するもので、会社都合の休業日は出勤の義務がないため使用できないと考えられるからです。

 

【②小学校休業等対応助成金】
また、政府からの一斉休校の要請に伴い、子の監護のため休む労働者に対して、「法定の年次有給休暇とは別に」有給の休暇を設けた場合、休暇にかかる賃金について、企業に対する助成金が創設されました。

その他、雇用調整助成金など政府からの支援情報に注意しつつ企業としての対応方針を決めていきましょう。

 

【参考】経済産業省HPhttps://www.meti.go.jp/covid-19/index.html

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