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2020 4月 17一覧

審判の不服

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

最近、コロナの影響なのか不明ですが、家事事件の相談が増えています。

家事事件の養育費や婚姻費用分担の相談にのっていると、手続の流れを説明することが多くあります

養育費や婚姻費用分担については、調停が不成立となると、審判移行されます(裁判所が審判をして結論を下します)。

養育費請求の審判があった場合、不満のある当事者は、高等裁判所に即時抗告できます(審判を受け取った日から2週間以内です)。

一般の民事裁判の場合は「不利益変更禁止の原則」があります(民事訴訟法304条には「第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる」と明記されています)。つまり、一般の民事裁判の場合は、控訴した当事者に不利に変更し、控訴していない当事者に利益に変更することは許されません。

他方、養育費の審判に対する即時抗告には、一般民事事件の「不利益変更禁止の原則」は適用されません(家事事件手続法は、民事訴訟法304条を準用していません)。

つまり、相手方が家庭裁判所の審判を受入れることにしたとしても、こちらが高等裁判所に不服申立をした結果として、かえって相手方にとって家庭裁判所の審判よりも有利な決定がなされる可能性があるのです(家事事件では有利不利が明らかでないことがあることにあるから、と言われています)。

例えば、遺産分割の審判で、計算上は余分に相続を受けたとしても、実際使い物にならない不動産が含まれていたりして、実質的に考えれば、不利なことがあり得ます。

家事事件で「不利益変更禁止の原則」の適用があるとしてしまうと、即時抗告した当事者が、控訴審において、実質的に不利な決定を受けてしまった場合、収拾がとれなくなってしまいます。

ですから、家事事件には「不利益変更禁止の原則」の適用がないとしてしまえば、問題はなくなります。

したがって、家事事件手続においては、裁判所は公益性を考慮し、後見的な立場から判断をするものであるという原則があり、抗告された以上は、高等裁判所は、有利不利にかかわらず、高等裁判所が正しいと考えた決定ができるようにしたとされています。

養育費の審判も同様、不利益変更禁止の原則は適用されません。月15万円が不服として抗告したら、相手は抗告していなかったが、月10万円に減らされてしまったということもありえます。

注意が必要な点のひとつですね。

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