トップページ > ブログ > 最高裁判例

ごあいさつ

2020 10月一覧

最高裁判例

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

非正規労働者にボーナス(賞与)や退職金が支給されないのは不合理か否か―。
待遇格差を巡って争われた2件の訴訟で、最高裁は、いずれも不合理と認めない判決を下しました。

正社員との不合理な待遇格差を禁じる「同一労働同一賃金」制度を新たに導入した国の施策に逆行する判断にも映りますし、自分も大変驚きました(労働法の教授たちから批判がされています)。

他方、昨日の日本郵政の件については、労働者側が勝ちました。

報道ベースの記事だけ読んでいると、あたかも非正規社員に対しては賞与と退職金を支給しなくても問題ないと思われる方もいるかもしれませんが、すべてそういうわけではありません。
また、各種手当(なお、10月の最高裁判決で争われたのは、扶養手当、年末年始手当、夏季冬季手当)についても、正社員と同様に非正規社員に対しても支払わなければならないと絶対視するのも誤りです。
各事業者の個別事情が大きく影響していることを重視する必要があります。

では、今度どのように対策するべきでしょうか。

とりあえず現時点で注目している事項は次の点です。

①支給する手当等について、なぜ支払うのか目的や対価内容を明確にすること
 例えば、抽象的に社員のため=労働者の福利厚生のために各種手当等を支給しているというのであれば、正社員と非正規社員、どちらも労働者である以上、福利厚生を充実させるべきであり、正規と非正規とで区別する理由がありません(会社は負けます)。
 一方で、長期勤務してもらうための恩恵を与える(退職の防止)という目的であれば、短期労働しか予定されていない非正規社員には支給無、正社員には支給するといった合理的区別を説明できるかもしれません(会社が勝つ可能性)。
 その意味で、手当等とその対価内容は吟味する必要があると思われます。

②労働実態が区別できるようにすること
 例えば、上記①で記載した長期勤務してもらうための恩恵という名目で支給していた場合、非正規社員であっても契約更新を繰り返し、実質的には正社員と何ら変わりがないという労働者も存在します。
 こういった正社員と非正規社員との労働実態に相違がない場合は、非正規社員に対して支給しないのは不合理という結論になってしまいます。

今後は、JOB型雇用(行った仕事に対して報酬が発生する)が増えていくのではないか、と言われています。
同じ仕事をしているのに待遇で大きな差があれば、理不尽に感じるのは人として当然です。
企業側は、ボーナスや退職金の支給目的や支払い基準といった賃金体系を明確にする必要が出てきたということでしょう。

契約締結に重要なこと

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

当事務所は、日常的に顧問弁護士を務める会社から契約書の確認を求められています。
新たに取引する会社などとは契約書を取り交わすことが大事です。
契約締結のために重要なことって何でしょう。

昔は、ふっかけて相手をビックリさせて、目標金額で合意する、という欧米流の交渉術がもてはやされました。
(自分も初め入った事務所でそう教わりました)
ただ、今では、そういうことは継続的な取引には向かないと思います(信頼関係が続かないからです)。

そこで、契約を締結するために大事なことを書いてみます。

 

①相手を知る
契約が締結できるかどうかは、相手方が納得して合意するかどうかにかかっているため、まずは相手方を理解することが重要です。具体的には、相手方の意思決定プロセスを知ること、相手方の意思決定の基準を知ることが重要です。

意思決定プロセスは、会社の規模、契約の内容等から推測することができます。
契約交渉の場合は、法律や業界慣行のようなある程度客観的な基準がありますが、そうした基準からどの程度離れているかによって、相手方の意図を推測できることがあります。

その他、契約交渉においては、相手方の交渉スタイルや、法的な事項の理解度等も、相手方とコミュニケーションするにあたって、考慮すべき要素となります。

 

②自社の提示条件の検討
①を前提として、②自社が相手方に対して、どのような条件を提示すべきかを検討する必要があります。
自社が契約によって獲得したい事項を洗い出して、獲得目標とする条件を適切に設定する必要があります。
どの程度自社に有利な契約条件を提示できるかは、基本的には、相手方との力関係などの関係性に大きく依存します。

③のコミュニケーションを適切に行えば、同じ状況でもより有利な条件を獲得できる可能性はありますが、現実の取引上の関係性から大きく離れた条件を提示することは基本的には難しいです。

企業間の取引の契約交渉の場合、自社の希望する条件を無理に押し付けるような形で交渉することは、あまりお勧めしません。今後も継続的な関係を築いていくことが前提とされる場面が多く、相手方に嫌な思いをさせてしまうことは、長い目で見れば良い結果を産まないからです。

③適切なコミュニケーション
良い契約条件を獲得するためには、適切な条件を、適切な理由をつけて、適切なタイミングで提示することが重要です。

契約条件は、②で検討した条件を、契約条項の形で適切に文案に落とし込む必要があります。これを正しく行うためには、契約書に記載された文言の法的な意味を理解していなければならず、法的な素養が必要です。

契約条件を提示するにあたっては、少なくとも重要な部分には適切な理由をつけて丁寧に説明することが経験上特に重要です。相手方に納得してもらうことは、今後の取引関係を円滑に進めるためにも重要な要素となります。

弁護士事務所に侵入し、現金約190万円を盗む

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

警備会社の警備員が巡回中に弁護士事務所に侵入し、現金190万円を盗んだというニュースがありました。

弁護士事務所の机の引き出しに190万円も入っていたというのが驚きですね。
うちは、現金はすぐに銀行口座へ入れています。依頼者への送金も基本的に振込ですので、現金はできる限り事務所内におかないようにしてます。

弁護士事務所に窃盗とか絶対「刑事告訴」でしょう。被害事務所の処罰意見は、「厳罰を求める」として、刑務所に行ってもらうことになるでしょうね。
当事務所も防犯カメラを増設予定です。今の時代、こういうモラル破壊があってもおかしくない世の中ですので、しっかり自衛しないといけません。

窃盗から守ってもらうために警備会社と契約しているのに、警備員が窃盗するってもう終ってますね。
現金を事務所内におかないことを徹底するとともに、防犯カメラを増設して当事務所も対応したいと思います。ここまでしないといけない世の中って・・・少し寂しい気がします。

Go Toトラベル

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

政府の旅行喚起事業「Go Toトラベル」をめぐって、最大1万4千円の旅行商品の割り引きを終了したり制限したりする旅行予約サイトが12日までに相次いでいるといったニュースがでてきました。

1日から東京関連の旅行がトラベル事業の対象に追加されたことで、予約が一部のサイトに殺到。
割り引きの原資となる政府から配分された予算が限られているため、「苦肉の策として」(楽天)割り引きの制限などを始めたといいます。

観光庁は13日にも割引制限への対応を発表するとみられるますが、旅行者の混乱は必至ですね。

例えば、「10日午前2時以降は割引上限金額を1人1泊当たり3500円(税込み)に変更させていただきます」とリクルートグループの旅行予約サイト「じゃらんnet」はサイト上にメッセージを掲載しているようで、旅行商品割引を最大1万4千円から3500円へと大幅に圧縮することを表明しています。同様の割引圧縮はヤフートラベルや一休.comなども同様で、楽天トラベルは割引幅は制限しなかったようですが、1人1回に回数を制限したようです。

ちなみに、自分も遅い夏休みとして今年の終盤に「Go Toトラベル」を利用して、お得に旅行に行く計画を立てています。
親戚も便乗すると言い出したので、最近同じサイトを紹介したら、割引率などが全然変わっていてビックリしました。

割引率が高いから旅行に行く気になったのですが、割引率が下がると「まぁ、コロナだし、行かなくていいかな」って思いそうです。
これまでに予約した部分は変更しないということから、今年終盤の旅行を楽しみにして仕事を頑張ります。

政府には、あまり混乱させないようお願いしたいですね。

※ 追記
今日の朝のニュースでは、政府が追加で予算を確保する、といった情報がありました。
となると、それがはっきりするまで今は旅行の予約を取らない方がいいのでしょうかね。
中小の旅行会社にも枠があるようなので、ネットで使用できなければ「中小の旅行会社に出向くのもいい」と言ってましたので、地方都市なら中小の旅行会社に出向くというのも手かもしれません。

執行猶予中に麻薬使用、再び猶予判決

こんにちは。
豊田シティ法律事務所の弁護士米田聖志です。

さて、執行猶予中の人が犯罪を犯すと、実刑になるというのがほとんどです(いわゆる「弁当持ち」と言われています)。
しかし、刑法上「再度の執行猶予」というものが認められていて、前刑が保護観察付でなく、情状に特に酌量すべきものがあるときで、今回の刑が1年以下の懲役の場合は、執行猶予中でも執行猶予が認められます(ただ、見たことがないですね)。

(以下、読売新聞から引用)


執行猶予中に麻薬を使ったとして、麻薬及び向精神薬取締法違反に問われた大学生の男(23)に対し、甲府地裁は8日、再び執行猶予付きの判決を言い渡した。執行猶予中の被告に再び執行猶予が付くのは異例で、荻原弘子裁判官は「本音で言えば甘い判決」と述べた。

判決によると、男は今年1月、山梨県富士河口湖町の宿泊施設で合成麻薬LSDを服用した。男は7月に逮捕されたが、当時は詐欺未遂事件で有罪判決を受けて執行猶予中だった。

荻原裁判官は男に懲役1年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役1年2月)の判決を言い渡した後、「ここからは本音」と断ると、「正直言って甘い判決だと思う。裁判官が10人いたら9人は実刑判決の事案。検察官が控訴すれば、高裁は実刑と判断するかもしれない」と述べた。

それでも執行猶予を付けた理由については、母親が男と一緒に鹿児島・屋久島の実家に移住して生活を変え、男も薬物仲間との関係を断つと約束したことなどを挙げ、「再び薬物に手を出せば人生をどぶに捨てることになり、家族の人生も奈落の底に突き落とすことになる」と諭した。


 

家族が見捨ててないことを裁判官が重視してくれたのでしょうね。
同種前科でないことも影響があったように思いますし、今回の刑がいわゆる「被害者のない犯罪」と言われる薬物犯罪であったことがポイントだったように思います。
(被害者がいる犯罪では、被害者の意向からして、再度の執行猶予はさらにハードルが高くなると思います)

量刑データなどで淡々と判断を下す裁判官も多いなか、こういう裁判官がいることは日本の裁判も捨てたものではないなと思います。
ケースバイケースで、再度の執行猶予が認められる事案というのはあってしかるべきで、今回の被告人は、その裁判官の恩情に感謝して更生してもらいたいと思います。

  • calendar

    2020年10月
    « 9月   11月 »
     1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031  
  • categories

  • selected entries

  • archives

  • profile

    豊田シティ法律事務所
  • メタ情報

  • mobile

    QRコード
  • お問い合わせ

    ご相談のご予約受付時間  9:00~17:00

    メールでのご予約
    0565-42-4490